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たわいのない会話の難しさ

他愛のない会話というのは何だろう。ある患者さんに「他愛のない会話ができるようになりたい」と問われ、考えるようになった。

目的があって話をする場合には対話になるかもしれない。意見を言い合って何かを考える場合には討論に近くなる場合もあろう。しかし、他愛のない会話とは一体なんであろうか。何気ない会話、世間話、他にも類似した言い方はあるかもしれないが、共通するのは「特に意味がない」ということであろうか。

「他愛ない」を調べてみれば、どうやらこれは当て字だという。本来は「たわいない」とのこと。意味は、しまりがない、しっかりしていない、正体がない、など。戯れているかのような、ということでもあるらしい(戯、がたわい、の部分のようだ)。「特に意味がない会話」という私の解釈はそれほど遠くはなかったようである。

さて、「特に意味がない会話をしたい」ということになると、これはなかなか難しい。え、そんなの簡単だよ、という人は恵まれている。多分、才能を持っているか、あるいは良い会話相手に恵まれているのであろう。

私は、そういう世間話やたわいない会話というものは極めて苦手な人間である。どちらかというと、目的があって、それに向けて話して行く方が落ち着く。しまりがなく、正体がなく、しっかりしていない会話を続けるとなると、これは高度な技術が必要である。

会話を卓球のようなものだと考えると、討論は試合である。目的を持った対話は、打ち方そのもののクオリティを上げて行こうとするラリーのようなものである。しかし、たわいのない会話となると、これは温泉卓球である。

わたしは、ついうっかり、「たわいのない会話」を求められている最中にスマッシュを打ち込んでしまうことがあるし、「そのラケットの構えがおかしい」と指摘してしまいかねない。妙に力んでいるのである。なんとかラリー程度までには持って行けても、温泉卓球のゆるい楽しみ方まで行き着くことができるかというと、これはなかなか簡単なことではない。卓球台を使っていても、卓球ではないのである。卓球ゴッコであり、そのゴッコそのものを楽しむ必要がある。それが、たわいのない会話である。

それがいかに高度なことか。

以前、初めて小津安二郎監督の映画を観た。その際、「そうかな…」「そうよ」「そうか…?」「えぇ、そうよ」「そうか」「そうよ」というような(正確でなく、ニュアンスですみません。誰か、こういう感じのやり取りを書き抜いてくれませんか笑)、文字にすると馬鹿にしているとしか思えないようなやり取りをするシーンが多発していた。しかし、これらは声のトーンや表情その他が全て異なっており、十分やり取りとして成立しているのである。

もちろん、実生活で「そうよ」「そうかな」だけのやり取りだけで成立するとは思えない。しかし、電話口で「もしもし…?」「はい、もしもし」と始めるではないか。意味のない単語であっても(もしもしは「申し上げる」が約まったものという話もあったが)、それを「打ち返す」だけで、やり取りとして成立する。まさに、たわいのない会話である。

生まれたばかりの赤ん坊が、「あぁー」「うーゔ」と言う。私もそれにあわせて、同じように「あぁー」「うーゔ」と言う。それだけで、赤ん坊はちょっとテンションが上がり、次の音を出すことがある。大人同士がそれをやっていては色々疑われそうだからしないけれど、たわいのない会話の根本はこの「貴方からのメッセージは受け取りましたよ」というサインを互いに出し続けるという行為そのものにあるとは言えないだろうか。

そして、それがある程度長く続けられることが求められるのが、たわいのない会話である。長過ぎてもいけない。短すぎてもいけない。相手の様子を見ながら、ボールのやり取りそのものを楽しむこと。勝敗でもなく、そのやり取りの意味でもなく。スマッシュは打たず、打ち方そのものにいちゃもんをつけないこと。たまに緩急をつけること。失敗しても、失敗そのものを楽しめるような状態に保つこと。

再度告白しよう。私は、たわいのない会話が得意ではない。意識的に、かなり努力をして、たわいのない会話を行っている部分がある。だからこそ、技術的にたわいのない会話をすることがどういうことか、ということについて考えることはできる(カウンセリングの技術など、相手の言葉を適切にやわらかく打ち返す技術の結晶のような部分があるので、訓練しておいて良かったと思うことは多い)。しかし、生まれつき、天才的にたわいのない会話ができる人々のことは、正直に言えばよくわからない。野球のできない私がイチロー選手の技術を考察するようなもので、レベルが違いすぎる。

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5/11(水) 11−302 5限
6/8 (水) 11−302 5限
7/13(水) 11−302 5限

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また、私の研究室在室予定です。画像では、水曜日1・2限が「学習指導論」となっておりますが、「教育心理学」が正しい表記です。
また、火曜日は月に1日ほど、いない場合があります。ご了承ください。
なお、私の研究室は11号館3階にあります。

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